5月11日生まれの皆さま、お誕生日おめでとうございます。
今日はどのように過ごしますか?
お誕生日の方、そうでない方も、ワクワクとした日を過ごしたいですよね?
そんなあなたに小さな小さなきっかけをプレゼントします。
ジャン・レオン・ジェロームが描く女性ヌードに注目
1860年代後半にパリのグービル商会から出版された『デッサン教本』は、ゴッホやピカソをはじめ、世界中の画学生が模写したという伝説の教科書です。本の著書は画家のシャルル・バルグとジャン・レオン・ジェロームです。
グービル商会は美術商でゴッホ家とは強い繋がりがありました。ゴッホの祖父は、グービル商会の経営陣で、ゴッホも一時期働いていたこともありますし、ゴッホの弟テオも働いていました。グービル商会の創業者はアドルフ・グーピル、ジャン・レオン・ジェロームの義理の父親です。
ゴッホは聖職者になる道を諦め、画家になろうと決意した直後くらいに「デッサン教本」を全ページ模写し、晩年にも一部模写していたようです。
現代ではゴッホの名前と作品をご存知な方は多いと思いますが、「ジェロームの作品いいよね!」と言う人は美術に詳しい一部の人かなと思います。当時はジェロームが売れっ子でした。
近年の健康志向により、ガリガリではなく筋肉がついた肉体美の追及から、展覧会のディレクションにもそういった傾向があるようです。そのなかでジェロームの作品は、注目されているように見受けられます。ジェロームが描く女性ヌードはみずみずしく、男女受けする理想的な体だと思います。ストーリーを感じる世界観がより美しさを際立たせています。
同時代の画家 参考
- クールベ 1819-1877 仏
- ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ 1824-1898 仏
- ミレイ 1829-1896 英
ジャン・レオン・ジェロームはどんな人?
1824年5月11日~1904年1月10日 職業:画家・彫刻家
出身:フランス
代表作:
- 『ミケランジェロ』
- 『ピグマリオンとガラテア』
- 『人類に恥を知らせるため井戸から出てくる〈真実〉』
- 『ブルサの大浴場』
- 『アレオパゴス会議のフリュネ』
- 『バト・シェバ』
印象派の画家、ピサロ、シスレー、モネ、ルノワールよりも一回り前に生まれました。
ゴッホと同様、印象派の画家たちは今では有名ですが、ジェロームは印象派をあまりよく思っていなかったため、出世してサロンの審査員になった際に、印象派の画家の作品をことごとく落とすという意地悪なこともしていたようです。印象派の画家の絵がなかなか売れなかったのは…この人のせい!?
印象派の主題とは全く異なる絵を描いていたルドンは、ジェロームを師事していました。アンチ印象派繋がりですかね…神話を題材に選んでいるところが共通しています。
印象派の画家たちと同じ画塾で学び、国立美術学校に入学し、奨学金を獲得するためにローマ賞に応募しますが、最終試験の人物デッサンが不適合で落選します。その悔しさをバネにし、技術向上を目指し奮闘します。
聖書や神話、歴史上の人物などの古典的な題材でアカデミックな作品をサロンに出品し、賞を受賞します。それを機に注文が舞い込み、画家として非常に順調にキャリアを築きました。
絵の仕事で得た報酬で東方を旅し、それがきっかけで異文化の風俗画を描くようになります。
権力や地位に興味がある野心家と思われる一面もあり、芸術アカデミーに5回立候補し、41歳のときに選出された会員になっています。出世して地位を獲得、王立美術学校の教授をしていたこともあります。
フランスの栄典(日本で言う文化勲章のような類)を授けられ、イギリス王室アカデミーでも名誉会員であったのは、他者からの評価なので、もらえるものをもらうのは別に悪いことではないですね。
私生活ではグーピル家の娘と結婚し、5人(4女1男)のお父さんでした。長男はジェロームよりも早くに亡くなっています。
https://pin.it/x54mp4mublnpef
ジェロームの絵で人気なのは『ピグマリオンとガラテア』ですかね?
ピグマリオンはギリシャ神話に登場するキプロス島の王様です。現実世界の女性に疲れ、自分の理想の女性像(ガラテア)を彫刻で彫ります。自分が彫った彫像に恋に落ちたピグマリオンは、ガラテアを実在する人間のように扱います。
お世話をしているうちに、やつれていってしまったピグマリオンを不憫に思った美と愛の女神アフロディーテが、ガラテアを人間にします。喜んだピグマリオンはガラテアを妻として迎えたという話です。
ジェロームが描いた『ピグマリオンとガラテア』は、下半身は大理石のまま、上半身から徐々に肌色になっていく様子、上半身が動きピグマリオンを抱き寄せキスをしている、命が宿っていく瞬間が一目で分かります。
…余談
映画『マイ・フェア・レディ』は、戯曲『ピグマリオン』を参考にしているそうです。理想の女性(男性)を育てる系の話の起源は、おそらく『ピグマリオン』です。
…
ジェロームが描いた絵で私が好きなのは、『ミケランジェロ』です。おじいさんが孫に彫刻をレクチャーしているようなほんわかした絵です。どっちがミケランジェロなのか?独身のミケランジェロに孫はいないし、気難しいミケランジェロが若い弟子をとって指導するには違和感があります。幼少期のミケランジェロと彫刻を教えてくれた人?またはミケランジェロのビフォー、アフターが混在しているのかなというのは想像です。
同年の1824年生まれの人 参考
- 作曲家 スメタナ 1824-1884 チェコ
- 画家 ジャン・レオン・ジェローム 1824-1904 仏
- 小説家 アレクサンドル・デュマ・フィス 1824-1895 仏
- 作曲家 アントン・ブルックナー 1824-1896 オーストリア
- 画家 ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ 1824-1898 仏
女性パイロットのパイオニア ハリエット・クインビー
1875年5月11日~1912年7月1日 職業:パイロット
出身:アメリカ
チャールズ・リンドバーグが大西洋単独無着陸飛行に初めて成功したのが1927年、同年に女性パイロット、アメリア・イアハート(1897-1937)が、大西洋単独横断飛行に成功しました。
この2人については、比較的知られているとおもいますが、その15年前にドーバー海峡を横断飛行に女性で初めて成功したパイロット、ハリエット・クインビーについては、飛行成功日の前日に起きたタイタニック号沈没事件により、注目されることがなかったという人です。
パイロットになる前は劇作家として映画の脚本を手掛けていましたが、35歳のときに飛行機に興味を持ち、私設のパイロットのライセンスを得た最初のアメリカ人女性でした。
同年の1875年生まれの人 参考
- 作曲家 モーリス・ラヴェル 1875-1937 フランス
- 画家 アルベール・マルケ 1875-1947 フランス
- 画家 上村松園 1875-1949
- 精神科医 カール・グスタフ・ユング 1875-1961 スイス
- 民族学者 柳田國男 1875-1962
- 小説家 エドガー・ライス・バローズ 1875-1950 アメリカ
- 工学技術者 フェルディナント・ポルシェ 1875-1951 オーストリア
- 詩人 ライナー・マリア・リルケ 1875-1926 オーストリア
サルバドール・ダリはガラの理想とする芸術家!?
1904年5月11日~1989年1月23日 職業:画家
出身:スペイン
シュルレアリスムの代表的な作家として知られるスペインの画家です。
1980年に出版されている『隠された顔』はダリの自伝ですが、アマゾンで探したところ古本しかないので、図書館で是非借りてみてください。作品のなかで、蟻が多くでてくるのも、幼少期の経験によるものという発見があります。
代表作:
- 『記憶の固執』
- 『球体のガラテア』
- 『燃えるキリン』
- 『聖アントニウスの誘惑』
- 『十字架の聖ヨハネのキリスト』
- 『窓辺の少女』
絵画だけでなく、パフォーマンスアート、舞台や衣装、宝石、インテリアのデザインから映画監督などマルチに活動しました。
スペインの菓子メーカー、チュッパチャップスのロゴのデザインをしたのもダリです。チュッパチャップスの経営者とダリが食事をしているときにデザインを依頼され、その場にあったペーパーナプキンに落書きのように描かれたものが気に入った経営者が、そのラフデザインを採用します。現在のロゴは、ダリが描いたラフ画を原型として、フォントが少し変わっています。
数々の奇行や逸話もメディアに取り上げてもらうための自己プロデュースの一環、嘘もつくし、セコイ、そういう一面もありますが、早くに亡くなった同じ名前の兄の代わりとして生きているというコンプレックスを抱え、逃れたいという気持ちとの葛藤、非常に繊細な面もあったようです。
https://pin.it/d24jtrkkrydw7z
妻・ガラ
ダリの精神安定剤でプロデュースしていたのが、妻ガラです。代表作の『球体のガラテア』他、ガラをモデルにした作品を多く手掛けています。ダリにとってガラは、妻であり、心のよりどころでありミューズでした。
ダリが25歳のときに出会いますが、ガラは人妻で子どももいました。10歳年上のガラに一目惚れしたダリが猛アタック、ガラも年下の若き芸術家でイケメンのダリに惹かれ、2人は恋仲になり、夫と離婚、ダリと正式に結婚しました。
最初に紹介した、画家ジェロームが描いたガラテアは、男性が理想の女性を育てるバージョンでしたが、ダリの場合はガラが理想とする芸術家を育てようとした感じです。
途中、舵取り不能になり、好き勝手にさせ、ガラは他の男性ともお付き合いしていました。ダリとガラはプラトニックな関係で、ダリにとってガラは存在するだけで素晴らしかったと言えそうです。
ダリが好きなもの…それは、
甲殻類です。『ロブスターフォン』という作品をつくっています。
「6歳のときはコックになりたかった。7歳のときはナポレオンになりたかった。それ以来、私の野心は着実に成長している」という言葉が残っていますが、食べ物から着想を得ているのも面白いです。代表作の『記憶の固執』は溶けるチーズから着想を得ています。
シュルレアリスムは半覚醒状態のときに、無意識で描かれることを特徴としていますが、半覚醒状態を作り出すのに、クスリを使っていたシュルレアリストが当時は沢山いました。
ダリは数々の奇行からクスリを使っているのでは?と疑われますが、「私はドラッグはしない、私自身がドラッグだ」と言ったように、半覚醒をつくりだすのにスプーンを握りながら椅子に座ってうたた寝をし、スプーンが手から滑り落ちそうなところにブリキの皿を置き、その音で目覚めて、夢うつつ状態、幻覚をとらえるという手法が十八番でした。
自伝を出版しており、メディアにも多く登場しているので、残っている語録が多いです。そのなかの一つにこんなものがあります。
何も真似したくないと思う者は、何も生み出さない
きっかけ:
誰かの真似+人が驚くことをしてみませんか?
海外にはダリ美術館は複数あります。
- ダリ劇場美術館(スペイン フィラゲス)
- ダリミュージアム(アメリカ フロリダ)
- エスパス・ダリ・モンマルトル(フランス パリ)
日本にはダリ美術館という名前ではありませんが、ダリの作品を多く所蔵している諸橋近代美術館があります。
同年の1904年生まれの人 参考
- 画家 デ・クーニング 1904-1997 オランダ
- 画家 サルバドール・ダリ 1904-1989 スペイン
- 建築家 谷口吉郎 1904-1979
- 小説家 幸田文 1904-1990
- 彫刻家 イサム・ノグチ 1904-1988 アメリカ
- 小説家 堀辰雄 1904-1953
土屋耕一の句読点の使い方が絶妙なキャッチコピー
1930年5月11日~2009年3月27日 職業:コピーライター・回文作家・随筆家
出身:日本(東京都)
資生堂に入社し、デザイナーならびにイラストレーターをしていた山名文夫氏、水野卓史氏もとでコピーライターとしての経験を積み、句読点の使い方に定評があるコピーライターです。「おーいお茶」の川柳選者を長年に渡って務めていたことで知られています
著書代表作:
手掛けたキャッチコピー(資生堂)
- 「香りは、女の、キャッチフレーズ」
- 「一歩、前へ出る美しさ」
- 「女性の美しさは、都市の一部分です。」
同年の1930年生まれの人 参考
- グラフィックデザイナー 田中一光 1930-2002
- 俳優 ジーン・ハックマン 1930-
- ジャズ・サックス奏者 オーネット・コールマン 1930-2015
- 画家 ジャスパー・ジョーンズ 1930-
- 俳優 スティーブ・マックイーン 1930-1980
- ファッションデザイナー ソニア・リキエル 1930-2016
- 俳優 クリント・イーストウッド 1930-
- 演出家 和田勉 1930-2011
- 画家 平山郁夫 1930-2009
- エッセイスト 妹尾河童 1930-
- 宇宙飛行士 ニール・アームストロング 1930-2012
- 俳優 ショーン・コネリー 1930-
- 小説家 西村京太郎 1930-
- 化学者 鈴木章 1930-
- 歌手 レイ・チャールズ 1930-2004
- 作曲家 武満徹 1930-1996
- 作家 野坂昭如 1930 -2015
- 芸術家 ニキ・ド・サンファル 1930-2002
- 映画監督 ジャン・リュック・ゴダール 1930-
- 作家 開高健 1930-1989
実験芸術家ヤコブ・アガムの視覚の錯覚を利用したアート
1928年5月11日 職業:実験芸術家
出身:イスラエル
「動く彫刻」と聞いて何を思い浮かべますか?
アレキクンダー・カルダーが創った、宙に浮かび動く彫刻作品を見たマルセル・デュシャンが、「モビール」と命名したという説が一般的に知られており、動く彫刻の言い方としてモビールがあります。
アレキサンダー・カルダーのような紙とワイヤー以外に、廃材を利用して外に置くことで雨風と動く彫刻を作ったジャン・ティンゲリーのような作品も、キネティック・アートと呼ばれています。
ヤコブ・アガムはキネティック・アートだけでなく、視覚の錯覚を利用したオプ・アートなど、実験的な作品を手掛けており、実験芸術家として知られています。
https://pin.it/tm4prdr4wy7e4i
キネティック・アートとは?
動くまたは動いて見える美術作品
オプ・アート=視覚の錯覚を利用した美術作品
レティシア・カスタ出演の映画作品
1978年5月11日 職業:ファッションモデル・俳優
出身:フランス
代表作:
- 『ゲンスブールと女たち』
- 『キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け』
- 『この胸のときめきを』
5月11日 今日は何の日?365日のきっかけ
ピンとくるような記念日がないため、新たに制定するとしたら、注目度間違いなしです。
いかがでしたか?
Wikipedia情報による、5月11日が誕生日である有名人や何かの記念日をヒントにして、きっかけをつくりました。
素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見することをセレンディピティ(serendipity)というそうです。サイトをご覧になった方が素敵な偶然に出会えるかは分かりかねますが、行動したら何かが起こるかもしれません。
素敵な一日でありますように!