6月16日生まれの皆さま、お誕生日おめでとうございます。
今日はどのように過ごしますか?
お誕生日の方、そうでない方も、ワクワクとした日を過ごしたいですよね?
そんなあなたに小さな小さなきっかけをプレゼントします。
ビクターロゴ 犬のニッパー作者フランシス・バラウド
フランシス・バラウドさんはどんな人?
1856年6月16日〜1924年4月29日 職業:画家
蓄音機に耳を傾ける犬のロゴで知られるVictor(ビクター)のロゴの犬の絵を描いた人です。犬の種類は、「スヌーピー」と同じでビーグルです。
絵の下には「His Master’s Voice」というコピーがあり、100年以上経った現代でも、このマークは親しまれています。
犬の名前はニッパー、フランシスの兄マークが飼っていましたが、マークが亡くなった後、フランシスが引き取り一緒に暮らしていました。
あるとき、兄の声が吹き込まれたレコードを蓄音機で聴いていたときに、ニッパーが耳を傾けて声を聞いているような素振りをしました。
ニッパーが亡き兄の声を懐かしんでいるような姿に心を打たれたフランシスは、その様子を1枚の絵に描き上げました。
そして絵のタイトルを「His Master’s Voice」としました。(ニッパーの主人の声=マーク)
レコード盤蓄音機を発明した、ドイツの発明家エミール・ベルリナーが絵を気に入り、絵をそのまま商標として登録しました。
会社の名前「Victor」は、Victor(勝利者)というそのままの意味をつけた、蓄音機のホーンの形状がV字に似ていることからなど、諸説あります。
同年の1856年生まれの人 参考
- 精神分析学者 ジークムント・フロイト 1856-1939 オーストリア
- 児童文学作家 ライマン・フランク・ボーム 1856-1919 米
- 画家 フランシス・バラウド 1856-1924
日本人初のイコン画家 山下りん
ビクターのロゴの絵を描いた、フランシス・バラウドが生まれた1年後の日本はまだ、江戸時代でした。今日お誕生日の山下りんは、幕末の混乱期に生まれ、イコン画家としてロシアに留学した人物です。
山下りんはどんな人?
1857年6月16日~1939年1月26日 職業:画家
出身:日本(茨木県)
江戸時代末期~昭和にかけて生きた、日本人初の女性イコン画家と言われています。
イコン画とは?
聖書の内容や教会に関する出来ごとなどを描いた宗教画です。正教会で使われるものを「イコン画」と言います。
江戸末期(13代徳川家定の時代)の茨城県笠間市で生まれました。家族構成や父親の職業、幼少期のことは分かりません。
りんは16歳のとき江戸に出て、浮世絵師から絵を習い、その後洋画を習い、美術学校に入学しました。
そのまま学んでいたら、西洋画家になっていた可能性が高かったと思いますが、美術学校の同級生に影響を受け、正教会に改宗します。
結婚して留学することが出来なくなってしまった同級生の代わりに、教会専属の画家(聖像を描く画家)として修業を積むために、明治13年(1880年)23歳でロシア(ペテルブルク)に留学しました。
改宗については、信仰心からというよりも、絵を習いたいという思いからで、そこまで正教会に熱心だったというわけではなかったようです。
りんが10歳のときに大政奉還1867年、廃藩置県が1871年、西南戦争が1877年、西南戦争が起きたあとの動乱期に留学が出来たのは、すごいことだと思います。
例えば、外国に行きたがっていた吉田松陰(1830-1859)のように密航に失敗した人がいれば、新島襄(1843-1990)のように密航に成功した人もいます。ジョン万次郎(1827-1898)のように、漁にでていたときに嵐にあってたまたま助けられたという人もいます。
(参考)津田塾大学の創始者である津田梅子(1864-1929)がアメリカに留学したのは、明治4年、1871年梅子7歳の頃です。
日本の美術史において、すぐに思い浮かぶ浮世絵師や画家など、参考になりそうな年代がいなくて、分かりにくいかもしれません。日本人初の洋画家と言われている高橋由一は29歳年上です。
西洋美術史におい年齢が近いのは、ポスト印象派のゴッホが4つ年上、点描のスーラが2つ年下です。大政奉還を始めとする動乱期に、ヨーロッパでは印象派からポスト印象派の画家が奮闘していた思うと不思議な感じがしますね!
この時代に活躍した女性画家 参考
- ベルト・モリゾ 1841-1895 印象派
- メアリー・カサット 1844-1926 印象派
- 山下りん 1857-1939
- アンナ・モーゼス 1860-1961 米 晩年にリハビリのため始めた
- シュザンヌ・ヴァラドン 1865-1938 ユトリロの母
- マリー・ローランサン 1883-1956 エコール・ド・パリ
- ジョージア・オキーフ 1887-1986 米
- タマラ・ド・レンピッカ 1898-1980 アール・デコ
りんは、ペテルブルクに滞在中は女子修道院でイコンの制作技術を学び、当初5年を予定していた修行期間をわずか2年で終了し帰国しました。
優秀だったからというわけではなく描きたい絵とは異なることに不満をもっていた、人間関係がうまくいかなかった、精神的に追い詰められたなどの理由です。
留学中、美術館でイタリアルネサンス期の画家、ラファエロの絵画などに触れ、模写することがありました。
帰国後、東京神田にあった正教会の神学校にアトリエを構え、イコン画の制作を開始します。関東大震災でその多くは消失してしまいますが、東北や北海道を中心に約300点のイコン画を残しました。
日本の東方正教会のうち、4割は東北地方にあります。これは戊申戦争で敗北した旧東北諸藩の志士たちが、函館のロシア領事館内の教会で信者になったあと、故郷で信仰を広めたためと言われています。
東日本大震災の際に、東北に住む人々の支えになっていたのが、山下りんが描いたイコン画だったそうです。
りんの晩年は、故郷の笠間に戻りますが、白内障のため、絵筆を持つことはなかったそうです。
江戸、明治、大正、昭和と日本が様変わりした4つの時代に生きた画家、女性でロシアに留学し、イコン画家になることは容易ではなかったと思います。
きっかけ:
世の中の境界線を探してみませんか?
イコン画は、「別の世界への窓口」と評されることがあります。窓もドアも外と中とを分ける境界線です。
同年の1857年生まれの人 参考
- 画家 山下りん 1857-1939
- 画家 テオドール・キッテルセン 1857-1914 ノルウェー
- 発明家 シーバーガー 1857-1931
- 作曲家 エルガー 1857-1934 イギリス
半沢直樹シリーズ作者 池井戸潤
1963年6月16日 職業:小説家
出身:日本(岐阜県)
代表作:
- 『半沢直樹シリーズ』
- 『空飛ぶダイヤ』
- 『下町ロケット』
6月16日 今日は何の日?365日のきっかけ
アフリカの子どもの日
1976年6月16日、黒人学生のデモによって始まったソウェト蜂起に因みます。アフリカ統一機構(現 アフリカ連合)が1991年に制定しました。
和菓子の日
西暦848年(承和15年・嘉祥元年)6月16日、疫病退散を祈念するため元号を「嘉祥」と改元し6月16日に16の数にちなんだ菓子・餅を神前に供えた「嘉祥菓子」の故事に由来します。
1979年に全国和菓子協会が6月16日を和菓子と日としました。
ケーブルテレビの日
1972年6月16日に有線テレビジョン放送法が成立したことを記念し、郵政省が1991年に制定しました。
麦とろの日
語呂合わせで「6(む)(ぎ)1(と)6(ろ)」で、麦とろの日です。
スペースインベーダーの日
1978年6月16日にビデオゲーム「スペースインベーダー」が発表会にて初御披露目され、2018年その40周年であるのを記念してタイトーが、日本記念日協会が認定しました。
いかがでしたか?
Wikipedia情報による、6月16日が誕生日である有名人や何かの記念日をヒントにして、きっかけをつくりました。
素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見することをセレンディピティ(serendipity)というそうです。サイトをご覧になった方が素敵な偶然に出会えるかは分かりかねますが、行動したら何かが起こるかもしれません。
素敵な一日でありますように!