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頭のうちどころが悪かった熊の話

頭のうちどころが悪かった熊の話 安東きみえ

頭のうちどころが悪かった熊の話

意味なんてもの、もともとないんだ。生きていくのに、意味なんて

いらないんだ。ただ生きているだけでじゅうぶんなんだ。

牡鹿は決心した。

「ぼくはこれから、意味のあることは、いっさいしないことに決めたぞ。

決めたったら決めた。いっさいだ。いっさいしないんだ」

牡鹿は、ふっ切れたように気持ちが軽くなるのを感じた。

~~~

なにをやったところでだれかが意味をみつけだしてしまうことへの

失望感にうちのめされた。

「ぼくのやったことは意味がなかったんだ」

しかし、そうつぶやいた自分の言葉に牡鹿は首をかしげた。

つまり、とうとう意味がなかったことをやりおおせたのだ。

…りっぱな牡鹿より

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